トマト疫病

トマト疫病トマト

今回はトマトの病気の中で一番厄介な疫病についてです。

黄化葉巻病などのウイルス病も虫が多ければ、もちろん全滅することもありますが、疫病は発病を確認したら即刻、緊急事態宣言です。その増殖スピードと薬の効かなさは、他の病気の比ではありません。

本記事では、写真たっぷりでトマト疫病の病徴原因と対策(農薬)についてお伝えします。今すでに発生している場合は、おススメ農薬だけチェックしてすぐに農薬の散布準備をしてください。

 

トマト疫病の病徴

こちらが初期の疫病にかかった葉です。

トマト疫病

少し灰色のような感じです。

トマト疫病

そして段々と水でにじんだような跡になります。

トマト疫病

灰色かび病ともよく似ているので、注意が必要です。

トマト疫病

葉の裏からみるとこんな感じです。白っぽい胞子が見えることがあります。

 

茎です。侵された部分が茶色や黒っぽくなります。

トマト疫病

疫病 トマト 茎

畑に残しておく訳にはいかないので、家庭菜園ならば燃えるゴミに出してしまった方が安全です。

果実

果実です。こちらも茶色っぽくなります。

トマト疫病 果実

トマト疫病と似ている病気

トマト疫病の場合は拡大スピードが速いので、気づいた2日後にはハウスの3分の1ぐらいの株がやられていてもおかしくありません。その段階で疫病と悟ることもできますが(笑)、もっと早くはっきりさせておけば大爆発させずに済むかもしれません。

疫病の場合、基本的には、疫病用の農薬でないと効果が見込めないので、病気の鑑別間違いによる農薬の選択ミスは痛恨の極みとなります。

そこで似た病斑が出る、灰色かび病と斑点病を簡単にご紹介します。

灰色かび病

発生するのが冬場なので、発生時期が同じ頃になります。灰色かび病

灰色かび病 トマト

葉へは三角のような切れ込みの病斑になることが多いです。

みい
みい

にじんだ感じの病斑がちょっと似ています

斑点病

斑点病も同時に出ていると、似ている感じがするのではないでしょうか。

トマト疫病 斑点病

斑点病の場合は、しばらく経つと病斑の中心部に穴が開いてきます。

トマト疫病菌の特徴

それでは次に、疫病菌の特徴について押さえておきましょう。

Phytophthora (フィトフトラ)属菌による植物の病害は疫病と呼ばれ、トマトの疫病菌(Phytophthora infestans (Mont.)de bary )は、ジャガイモの疫病と共通となっています。

ただし、トマトの場合は遺伝的に異なる4つの系統(JP-1からJP-4)のうちJP-1が出る場合がほとんどと考えられますが、ジャガイモ疫病の場合はJP-3とJP-4を中心にその他も出るので病原性の違いがあります。加えて、JP-3とJP-4はジャガイモに対してのみ強い病原力を持つことが報告されています(宮地 2020)。

みい
みい

ジャガイモ疫病が出た圃場だったとしても必ずしも、トマトが疫病に罹ることはないということですね。

 

発生サイクルと原因

では実際にはどのような条件で発生してくるのかをNowicki, Kozik, and Foolad (2013)よりポイントを見ていきます。

  • 被害残渣で越冬、雨風で拡散
  • 気温が21℃以上(最適温度は25℃)のときは分生子が水滴で直接発芽し、気孔から侵入する(8時間から48時間ほどかかる
  • 気温が20℃以下(最適温度は12℃)のときは、分生子ではなく遊走子嚢となり多数の遊走子を生じる(最適温度で発芽まで2時間

これが大発生の原因

20℃以下の多湿条件で発生する疫病はその多数の遊走子(胞子)×スピードで、朝確認した時になかった病斑が昼過ぎには出ていて、それを取り除いても夕方に確認するとまた別に発生しているという状況に陥ります。

また、冬場の夜間はハウス内の暖房機の設定が12℃前後になり、そこに多湿な状況が加わってしまうと爆発的発生の危険性が高まります。

 

対策(農薬)

発生した場合の対策としては農薬一択と思われます。

初発の段階ならば葉を摘み取ることも効果があるかもしれませんが、発見した時にはすでに蔓延している可能性がありますので、発見したら即農薬を散布することをおススメします。

疫病に登録がある薬はたくさんありますが、ほとんど効果を感じないものもあります。ですので、薬剤の選定は非常に重要です。

 

トマト疫病のおススメ農薬

筆者のおススメは、こちら

ライメイフロアブルです。

こちらの剤は予防剤ではありますが、一般的な治療剤よりも優秀です。

おススメポイントとしては、3点あります。

おすすめポイント1:葉裏にかからなくても侵達性があるので散布ムラができにくい
おススメポイント2:葉内に浸透し、葉の表面に水分がたまると有効成分が溶け出し病原菌を死滅
おすすめポイント3遊走子を破壊する(感染能力を無くす)ので、他の葉や株への2次感染が防げる

このように、うれしいポイント満載です。

実際のところ

みい
みい

他の農薬では、散布しても遊走子(胞子)が死に切らないせいか夕方には被害株が増えている状況でしたが、ライメイの散布後はそれ以上の被害は食い止められました。

トマトもミニトマトもどちらにも登録があるので安心して使ってみてください。

 

その他の予防策としては、葉を濡れさせないこと。これに尽きます。

みい
みい

葉に結露ができなければ発生はほとんどありません(渡辺 1982)。また、予防的な薬剤散布も大切です。

 

最後に

私の所の場合、疫病の発生があるのは11月から12月にかけてです。

外の最低気温が6℃ぐらいだとハウス内の暖房機がまともに稼働せず、夜間多湿となります。また、ハウス内の内張りカーテンの使い始めのタイミングも要注意です。

一度発生してしまった場合は、残渣などを発生源に次の年にも発生する可能性があります。こちらの記事も参考に土壌消毒もお忘れないようにお願いします。

 

参考文献:

Nowicki, Marcin, Elżbieta U. Kozik, and Majid R. Foolad. 2013. “Late Blight of Tomato.” In Translational Genomics for Crop Breeding, Volume I: Biotic Stress, eds. Rajeev K. Tuberosa and Varshney Roberto. John Wiley & Sons, Inc., 241–65.

宮地将之. 2020. “ジャガイモとトマトに対するPhytophthora Infestansの病原力に関する研究.” 北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会.

渡辺康正. 1982. “環境制御-湿度を中心に.” 化学と生物 20(11): 753–59.

この記事を書いた人
みい

博士(農学)
専門は栽培学、植物生理学です。

種苗会社、農業資材・ハウス販売会社、大学で勤務経験ありです。

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