こんにちは、みい@博士(農学)です。
「住宅地に近い所で観光イチゴ園をやりたい」という話を最近よく聞くのですが、皆様も以下のようなことを思ったことはないでしょうか?
- 新しく農業用ハウスを建てる前に、付近の住宅等の影がどのくらいかかるのか知りたい。
- 畑や花壇にしようと思っている場所には日陰がどのくらいできるのか知りたい。
そんな時、ハウス業者に頼むとCADを使って日影図を書いてもらえるのですが、部材だけ注文する場合など、自分で知りたい場合もあると思います。
そこで今回は、簡易的な手書きの方法について書いていきます。
1年のうちのいつの影を書くか?
まず、1日の日の長さは春秋分の日で12時間です。
そして、冬至になると9.5時間、夏至で14.5時間になります。
これだけ日の長さが違うと、日影がかかるとしても、夏至の頃に1~2時間なら大したことないかもしれませんが、冬至の頃に同じように影ができてしまうのは栽培時に大打撃になる可能性があります。
そのため、冬至で日影図を描いておくと、栽培のことを考える時でも最悪の想定がしやすいです。
影の長さ
まず、影がどのくらいの長さになるのかを計算します。
影の長さを調べるための式は、
になります。
影を作る建物の高さ
そこでひとまず必要な情報は、影を作る建物の高さです。
ハウスを建てる場合は、周りの家の高さになります。
他人の家の高さはわからない場合が多いと思いますが、元住宅メーカー勤務の人に話を聞くと
「住宅用の建材は3mのものを使用するので、2階建てだとすると、3m+3mに屋根がつくから7mから8mと考えていい」
とのことですので、2階建ての家が建っている場合は8mとしておきましょう。
影倍率
その次に必要なのは影倍率です。
太陽が真上にあるときは影が短く、傾きがあるときは影が長くなりますよね?
そのため、影になる建築物の高さを1とした時の時間ごとの影倍率が必要となってきます。
どの様に影倍率を調べるか
建築基準法によって定められた日影図を作るときには、各自治体で指定された緯度、経度の日影倍率を用います。
そのため日影倍率表が公表されている地域もあります。
新宿区都市計画部の2021年度版建築の手びきには
建築の手びきー知っておきたい建築のルールー2021年度版 p.32 新宿区都市計画部
8:00と16:00の時の影倍率が7.220で、太陽方位角(後ほど説明)が53.20°という情報が書いてありますね!
ですのでこの日影の倍率と影をつくる建築物の高さをかけてあげれば影の長さがわかってしまうというわけです。
これを8:00、9:00、10:00、11:00、12:00、、、と計算してそれぞれの時間の影の長さを出しておきます。
影倍率の計算の仕方
代表地点ではなく、自分の所の緯度や経度で調べたい場合は、影倍率を計算することもできます。計算式は
となります。
太陽高度は、カシオのkeisanというサイトで、地点をグーグルマップで指定し、日付を12月22日(冬至)とすると調べることができます。
これを用いてエクセルで計算できます。
影の角度(太陽方位角)
影の長さがわかったら、影がどちらの方向にのびるのか知る必要があります。
この方位は、太陽方位角といって、先ほど上でご紹介した建築の手引きにも載っていましたし、keisanのサイトで太陽高度を出す場合も隣に表示されているのでその値を使用します。
日影図を作る
ここまで計算できたら、早速日影図を描いていきます。
まず地図を北向きにセットし、影をつくる建物を書きます。今回はこの正方形が家です。
そして、影の長さと角度(太陽方位角)を中心から引いていきます。
建物のコピーの中心を、先ほど書いた線の先端に置いて、影の先端をつくります。建物の端からも同じように線を引きます。
建物の淵を書いて、中心の線を消して、8:00の影の完成です。
同様に9:00も作っていきます。
9:00も完成です。
10:00まで完成しました。
こんな感じで16時まで作っていきます。
そうすると、1日で2時間以上影になる部分や、4時間以上影になる部分が分かります。
縮尺から計算して、ハウスを建てるときは参考にしてみて下さい。
おわりに
今回は、簡単な日影図の作り方をお伝えしました。
このためだけにCADを習得するほどでもないという方向けです。
よかったら参考にしてみてください。
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