土壌消毒ー太陽熱消毒ー

消毒

こんにちは、みい@博士(農学)です。

土壌消毒といえば薬剤によるものもありますが、太陽熱を利用した土壌消毒もお手軽かつおススメです。

そこで今回は、土壌消毒(太陽熱消毒)の目的と方法についてご紹介します。

ポイントを押さえて効果的な土壌消毒を行えるようにしていきましょう!

 

土壌消毒の目的

まず、なぜ土壌消毒を行うのかというと、同じ畑で同じ作物を栽培する(専門用語で連作と言います)と、土壌養分の偏りや集積が起きる以外に、特定の病害虫が多発してくるからです。

特に土壌中の病原菌やセンチュウの密度が高くなってしまうと立ち枯れるなどの被害をうける可能性が高くなります。

こちらは主な土壌病原菌の生存年限を示した表です。

病原菌の生存年限はおおよそ5年以上と長いため、一度発生させると年々菌密度が上がっていってしまいます。

 

上記のような土壌病害を回避するために、土壌消毒が必要になるわけです。

 

熱による消毒

土壌消毒もいくつか方法がありますが、毎年でも取り組みやすいのが熱を利用した消毒です。方法としては蒸気、熱水、加熱、太陽熱のいずれかを用いて病原体を死滅させます。

その中でもっともお手軽なのが、太陽熱消毒です。

そこで行うにあたり、どの位の温度が必要かというのを示したのが下です。

本当は100℃にできると良いのですが、太陽熱で土を温めるので、高い温度にするのはさすがに難しいです。

よって焼土やガス打ちするような効果までは期待できませんので、植物の根から入ってきて悪さをする糸状菌や細菌が太陽熱消毒のメインターゲットになります。

そうすると、これらの植物病原体は60℃ほどあれば殺菌できます。かつ、この温度であれば硝酸化成菌といった有用な微生物が残る利点が得られます。

 

 

しかし、この方法を行うにあたり考えなくてはいけないポイントがあります。

それは、いかに地下深くまで温めることができるかという点です。

畑の土の場合、地下の温度が上がりきらなかった部分に菌が残ってしまうので、菌密度を実害のない程度に低下させることが重要となります。

下の表をご覧ください。

こちらは、病原菌の生息深度を表した表になります。生息適域の深さをオレンジの矢印、生息限界を黄色の矢印で示しています。

この表から、頑張って地下25㎝程度まで熱を入れられると効果的なことが分かります。

みい
みい

細かく言うと、苗立枯病対策ならばそこまで深くまで熱が入らなくても大丈夫かもしれませんが、前作に萎凋病や半身萎凋病が出ている時はじっくりと時間をかけて地下まで熱が入るように消毒した方がいいということですね。

 

太陽熱消毒の方法

そして方法は、いたって簡単。土壌を透明フィルムで被覆して、ハウスを締め切るだけです。

簡単かつ低コストですね!

成功させるためのポイントとしては30℃以上の晴天が続く真夏に行うことと、たん水して土壌水分がある状態で被覆することです。

土を乾燥した状態ではなく、水分を含ませておく理由は、水が熱の媒体として温度の上昇と保持に有効に作用するからです。

また、高温たん水により、土壌の酸化還元電位が急激に低下することにより、病原菌の死滅温度に達していなくても消毒することができるとされています。

 

そして、どのくらいの期間行えばよいかという目安は、2週間から1か月です。

実は最短1週間程度でも地下20㎝が45℃以上で数日経過すれば効果が期待できるとされているのですが、曇天が続くと1か月でも不十分な場合もあるので(本間, 2004)、天気によって注意が必要です。

みい
みい

さらに注意点としては、地温はハウスサイドで低くなり、中心部で高くなるので(白木, 1999)、ハウスサイドの部分に温度計を挿して地温を計測しておくことをおススメします。

 

なお、温度の上がりにくい地域や真夏にできない場合には、有機物を入れて、肥料を入れて畝立てし、土壌水分を高めた状態で、フィルムで覆うことで土壌を還元状態にして効果を高める方法もあります。

おわりに

土壌消毒の時に土の上に被せるフィルムは、使い古しの内張りカーテンなどで十分です。

ですが、最近は長期展張可能な遮光保温カーテンが主流になってきていますので、フィルムの確保が大変になるかもしれませんね。

 

参考文献:

宇井 格生: 高等植物と微生物(II), 「土の微生物」 土壌微生物研究会編, pp.201~261博友社 (1981)

白木己歳 :「農業技術大系」野菜編第5巻農文協編, p.基+121~基+124農山漁村文化協会 (1999)

「新版土壌病害の手引 」編集委員会編: 新版土壌病害の手引, pp.152~157日本植物防疫協会 (1984)

本間義之:「農業技術大系」花卉編第2巻 農文協編, p.本体+111~本体+111の10 農山漁村文化協会 (2004)

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