先週はスイッチが突然入ったかのように日差しが暑い日がありました。
さてさて、今回はトウモロコシにおける三大害虫、アワノメイガ・アワヨトウ・アブラムシの中から、アワノメイガ対策についてお伝えします。
アワノメイガを制する者は、トウモロコシ栽培を制するハズです。
アワノメイガの被害
トウモロコシを包んだ葉を剥くと実が虫に食べられていることがあります。その犯人が十中八九アワノメイガの幼虫です。
収穫時にOH(ノД`)・゜・。とならないために対策をしておきましょう。
アワノメイガの発生時期は?
アワノメイガの発生時期は、地域によって異なります。斎藤・奥 (1985)と農業技術大系を参考にすると
- 北海道などでは年1回(7月から8月にかけて)発生
- 秋田などでは、年2回(6月上―中旬と8月上旬)発生
- 千葉県、宮崎県では年3回(4月下旬から6月下旬、7月上旬から8月中旬、9月上旬から10月上旬)に発生
- 高知県、長崎県で年4回発生
等の報告があります。しかしながら、年によって発生回数が増減することが指摘されており(斎藤・奥 1985)、トウモロコシのシーズンはいつでも発生すると思っていた方が無難でしょう。
特に暖かい地方では、いつでも抜け目なく発生するということですね。(^-^;
アワノメイガのライフサイクル
アワノメイガは幼虫の形で越冬し、翌年の上述した発生時期に蛾となり、卵を産みます。卵を産卵する時間帯は夜の20時から2時ごろまでです。その個数は一晩に10個から230個程度と個体によって幅がありますが、産卵は、1、2週間の間毎晩続きます(後藤・川崎 1996)。
卵は10日前後で羽化し、その後10から14日で成虫となり、葉の裏を中心に産卵します。羽化直後は葉の裏を食害していますが、間もなく雄穂→茎→雌穂の順に発生して、食害し始めます。
アワノメイガの対策(農薬散布)
防除の方法には、ネットをかけたり、ある程度の本数の雄穂をハサミで除去することもあります。ですが、ここでは手軽で効果がある防除方法として農薬を使用した防除方法のポイントをお伝えします。
今回ご紹介する農薬はこちらです。
三明デナポン粒剤5です。
名前が似ているデナポン5%ベイトはコオロギなどに効く誘引剤なので、トウモロコシ用のを買ってくださいね。
こんな感じの薬剤です。
これをそのままかけるので、水に溶かす必要もなく、ラクチンです。
これを、上から覗き込んだ時に雄穂(てっぺんから出る穂)が見えるか、見えないかのタイミングでまいていきます。
トウモロコシの雄穂の上からパラパラまいて、葉身、葉鞘(葉の付け根)の部分にとどまるようにしていきます。1つまみでOKです。
雄穂が完全に出てきてしまってからでは、薬剤が虫に届きにくく、手遅れになりやすいので注意してください。
この薬剤の使用回数は2回までで、もう1回やる場合は、絹糸(ヒゲの部分です)が3から5㎝出たときです。上の写真ぐらいの時ですね。
収穫21日前までの散布なので早めに散布してください。
アワノメイガの幼虫が発生した後の対策
残念ながら、薬剤散布をしても時機を逸して失敗することもあります。デナポンをまいていてもこのような兆候があるときは幼虫が発生しています。
雄穂の先が折れていたり
泡のようなものがついていたら、アワノメイガの幼虫が雄穂の中に侵入している証拠です。
そんなときは、早急に雄穂を切ってアワノメイガの幼虫を取り除いてしまいましょう。雄穂で食い止められれば、雌穂(トウモロコシの実)への被害をある程度防げるはずです。
ハサミで切って、中を確認します。ここまでは来ていないようですね。
中に入り込んでいますね。穴が空いていたら、穴の中にいないかチェックしてください。
雄穂の間からも出てきます。切った後はその辺に投げておかずに、しっかりと処分しておきましょう。何匹か潜り込んでいることがあります。
おわりに
スイートコーンの収穫時期は、雌穂が出てから18日から21日後が、甘味と食感でベストタイミングとされています。
デナポンを使用するときは早め早めで散布して、ベストタイミングで収穫できるようにしていきましょう。
今年のトウモロコシも楽しみですね♪
参考文献:
滝沢康孝 (1977) 子実用トウモロコシの栽培. 農業技術大系作物編 7: 93-118
斎藤修・奥俊夫 (1985) トウモロコシ圃場におけるアワノメイガの個体群動態. 東北農業試験場報告71: 43-57
コメント
こんにちは。カボチャの着果促進の記事ですが参考になりました、毎年着果率が今ひとつで、今年はこの方法でやって見たいと思います。
トウモロコシですがやはり毎年アワノメイガがすごくて、デナポンやBT剤、フェニックスなどを組み合わせて防除しています。いろいろ調べた結果オルトラン水和剤が浸透移行性もあって有効かと考えていますがどうでしょうか?
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、オルトランは浸透移行性を有し、残効も長い点が特に優れた点だと思います。
有機リン系ではありますが、一応、人に対して低毒とのことです。
(参考:アリスタ通信 https://arystalifescience.jp/ipm/ipm29-7.php)
ともあれローテーション防除の観点から、色々な手があった方が良いと思います。
オルトランだと収穫7日前までの使用になるので、効果が今一つだった場合に備えて、収穫前日まで使用可能なフェニックスもご準備されて一度使ってみるのはどうでしょうか。
場所柄や抵抗性の具合によりますので一概には言えませんが、フェニックスは1本持っていて損はない印象を持っています。
返信いただきありがとうございます。
オルトランは残効も長いのですね。有機リン系は最近の野菜栽培では使う機会が減ってきていますが、安全性があるなら組み合わせたいと思います。
フェニックスなどのジアミド系?は効果が安定していると感じています。しかし使い過ぎて、不死鳥のごとくよみがえったーー、、みたいにならない様、複数の薬剤でローテーション防除をしていきたいと思います。
デナポン剤のまくタイミングが良く分かりました。明日早速散布します。
コメントありがとうございます。
これでダメならば他のおススメ剤があるので、とりあえずデナポンをやってみて下さい。