トマトの割れ(裂果)

裂果 ミニトマトトマト

毎日本当によく雨が降る降る。

今回は、トマトの割れ(裂果)についてです。

トマトってよく割れますよね。今年は収穫したミニトマトを袋に詰めようと思ってハウス内においておいたら、次に見たときにはいくつか割れていました。

収穫し終わったあとでも割れる、なんという膨張力!驚きです。

さて、本記事では、トマトの割れ方なぜトマトが割れるのか、そして割れないための対策について解説します。

少しでも対策をして裂果を減らしていきましょう。

トマトの割れ方

大玉トマトの割れ

大玉トマトの割れは、大きく分けて3つのタイプがあります(鈴木 2014)。

トマト 裂果トマト 側面裂果

①果実の生育途中から深く亀裂が入り、コルク層を中心に放射線状または同心円状に裂けるもの(放射状裂果・同心円裂果)写真左

②収穫間際になり側面の果皮が裂けるもの(側面裂果)写真右

③表面(表皮)に細かな亀裂が入るもの(裂皮

→果皮がざらざらとして、つやなし果とも呼ばれます。

 

ミニトマトの割れ

ミニトマトの割れは、7-8分色付いてくる段階以降に発生します(鈴木 2014)。大玉トマトと違い、縦割れするものがほとんどです。ミニトマトの場合はヘタの下から割れ始めて、かかる時間は2分くらいです(太田 1996)。

みい
みい

昨日割れていなくても、気づくと割れていますよね。

なぜ割れるのか?

裂果は果実に流れてくる養水分や光合成同化産物が過剰になったときに、果実表面の細胞の伸長が間に合わず、亀裂を生じることで発生します(鈴木 2014)。

 

裂果を引き起こす要因は大きく分けて2つあります。

1つ目:水分の過多→果実の膨圧が高まった結果

2つ目:強日射(UV)→果皮が傷んで、小さな傷やヘタ下のコルク層ができやすくなる結果

これらのうちどちらか、もしくは両方が合わさり裂果が発生すると考えられています。

では、それぞれの要因について考えていきます。

 

水分の過多による裂果

水分過多の原因は、①土壌水分の過多②土壌が乾燥している状態から多量のかん水③降雨による果実(コルク層)からの吸水によるものです。また、④曇天で(最低)気温が低く湿度が高い条件でも多発することが報告されています(太田ら 1994; 渡邊ら 2006)。

①・②・③の水分過多の場合は植物体の吸水量が高まり、果実の膨圧が高まった結果、裂果が引き起こされると考えられています。

一方、④の曇天で気温が低く、湿度が高い場合は、植物体の蒸散作用が緩慢となり、大気中に放出されるべき水分が果実内に流入し、果実が膨張した結果、裂果に至ると考えられています(渡邊ら 2006)。

加えて、葉枚数に対して、果実数が少ないときも、1つの果実に対して多すぎる養水分が流れ込む原因となり、裂果が発生しやすくなります(鈴木 2014)。

 

強日射(UV)による裂果

とくに、幼果期~緑熟期ころまでの積算日射量が多く肥大が旺盛な果実で生じやすいことが明らかとなっています(鈴木 2010)。

また、仕立て方では、果実に直接日光が当たる直立仕立てと、葉で果実が隠れる斜め誘引仕立てを比較した試験では、直立仕立ての方が裂果しやすいとの報告があります(鈴木ら 2007; 鈴木・柳瀬 2005)。

サカタのタネの榎本(2011)によると、

温度が高いとコルク層は大きくなるんですが、そこに光が直接当たるとヒビが入って裂果します。

そもそもコルク層はヘタに隠れている部分が多いんですが、暑いとヘタはクルッと上に巻き上がってしまう。するとコルク層があらわになって、そこに光が当たって裂果するというわけです。

ということらしいです。

 

裂果を防ぐ対策

それでは、割れないためにはどうすればよいのかということで、栽培環境・方法を見直すことと、裂果しにくい品種を栽培することの2つの対策をご紹介します。

栽培環境・方法を見直す

露地栽培では水分のコントロールが難しいかもしれません。

トマト

少々乱暴な手ではありますが、収穫7日前ごろにペンチで果梗をつぶすと、養水分と同化産物の流入を抑えられるので、裂果に有効だったとの報告があります(果実のサイズは小さくなります)(鈴木ら 2012)。

色が緑からうすいピンク色に変わってきたあたりで、雨が多そうな時は試しにやってみるといいかもしれません。

矢印の果房の付け根あたりをつぶします。結構固いので思いっきり潰して大丈夫です。

 

 

また、ミニトマトの場合、250果を調査した結果では、全体の43%の果実の裂果は午前4時から6時の 早朝時間帯に発生しています(Ohta et al. 1997)。なので、早朝時間帯のかん水および、夕方の時間帯のかん水を避けることも効果があるかもしれません。

芽欠き トマト

一方、強日射を避ける方法としては、わき芽(腋芽)を元から除去せずに、果房下のわき芽の葉を2枚程度残しておくと、後にそれが影になり、裂果を抑えるのに有効だったとの報告があります(木村ら 2012)。

みい
みい

写真のような感じで影に使えそうな葉は残しておくとよいです。要らないと思えば普通の芽欠きのように元から切り戻してしまえばOKです。

 

ハウスでの栽培であれば、送風機を用いることが湿度の低減につながり、品種によっては有効なようです(太田ら 1991)。また、コルク層の形成抑制や,表面に細かい傷が入る裂皮や同心円状の裂果の発生抑制には、UVカットフィルムが有効であることが示されています(木村ら 2012)。もちろん遮光カーテンの利用でも効果があるようです(野村ら 2006)。

 

裂果しにくい品種を栽培する

ここまで、色々とご紹介してきましたが、裂果しにくい品種を使うのが一番手っ取り早いかもしれません。裂果のしやすさは、品種によって異なります。

二井内・本多 (1960)は裂果に強い品種の特徴として以下の4つを挙げています。

  1. コルク層がないか、またはきわめて少ないこ と
  2. 葉型が大きく、しかも果房を被覆しやすいような位置に葉が附着すること
  3. 果皮が強いこと
  4. 果実の糖度が低いこと

これらのいずれかの特徴をもった品種が裂果しにくいと考えられます。

 

裂果しにくい大玉トマト品種

木村ら (2012)は3年にわたり、3から6品種のトマトを栽培した結果、「みそら64」は他品種に比べて、果実が硬い傾向にあることからも、裂果が少ない品種であると考えられると報告しています。

また、「麗夏」はコルク層が少ないため、裂果しにくいようです(榎本 2011)。

少し毛色が違いますが、卵型の加工用トマトは、芯止まりで果実が葉に隠れやすく裂果しにくいです(鈴木克己 2014)。

 

裂果しにくいミニトマト品種

栽培屋調べですが、今年栽培している4種類の中だと、「キャロルロゼ」が一番割れにくいです。

ミニトマト 裂果

キャロルロゼは、収穫始まりが一番遅かったですが、割れにくいと思います。おススメです。

 

おわりに

今年の梅雨は、終わりが見えないうえに、雨量がとんでもないことになっています。恐らく露地でトマトを栽培されていると、悲惨なことになっているかもしれません。

また、梅雨が終わると、今まで曇っていたところに強日射が当たりますので、さらに裂果が止まらなくなると思います。

結論としては、天気のことばかりは、どうしようもないので、割れにくい品種を選ぶことが大事かもしれませんね。

ちなみに、割れたトマトは、割れた後でも食べることができます。

ただ、特にミニトマトだと甘いので、時間が経つと割れ目が黒くなってきます。そこまでいってしまったら食べない方がよいと思われます。大玉トマトも腐ると、腐った酸っぱい匂いと、味になります。ここまできたらNGです。

 

参考文献:

Ohta, Katsumi et al. (1997) “Relationships Associated between with Fruit Solute Cracking Flow and Changes in Cherry of Fruit Diameter to Fruit Tomatoes.” J. Japan. Soc. Hort. Sci. 65(4): 753–59.

二井内清之・本多藤雄 (1960) “トマトの裂果に関する研究(第2報).” 園芸学会雑誌 30(1): 9-14.

太田勝巳 (1996) “ミニトマトにおける裂果発生の機構解明とその制御に関する研究.” 京都大学.

太田勝巳・ 伊藤憲弘・細木高志・ 杉佳彦 (1991) “水耕 ミニトマトにおいて湿度が裂果発生に及ぼす影響ならびに裂果発生の制御.” 園学雑 60(2): 337–343.

太田勝巳・ 細木高志・伊藤憲弘 (1994) “低温寡日照条件下におけるミニトマト‘サンチェリー’の収量及び果実品質について.” 島根大学農学部研究報告 28: 1–4.

木村真美・藤谷信二・ 一万田賢治 (2012) “夏秋雨よけトマト栽培における裂果軽減技術(1).” 大分県農林水産研究指導センター研究報告 2: 23–42.

榎本真也 “裂果しやすい品種、しにくい品種.” In 現代農業2011年2月号, ed. 農文協. 東京: 農山漁村文化協会, 82–83.

渡邊聖文・志和地弘信・ 岩堀修一・高橋久光 (2006) “施設栽培におけるトマト果実裂果発生要因の解析.” 東京農業大学農学集報 504: 106–11.

野村康弘・鈴木隆志・塩谷哲也 (2006) “遮光資材による夏秋トマト裂果発生抑制技術.” 岐阜県中山間農業技術研究所研究報告 5: 11–16.

鈴木克己 et al. (2012) “トマト果梗における物理的処理後の組織形態の変化.” 園芸学研究 11(4): 569–75.

———. (2014) “生理障害の原因と対策.” In 『農業技術大系』野菜編 2, ed. 農文協. 東京: 農山漁村文化協会, 基527–基538の4.

鈴木隆志 et al. (2007) “夏秋トマト雨よけ栽培における放射状裂果の発生に及ぼす積算日射量の影響.” 園学雑 6(3): 405–9.

鈴木隆志・柳瀬関三 (2005) “夏秋トマト雨よけ栽培における放射状裂果の発生に及ぼす灌水および整枝の影響.” 園学雑 4(1): 75–79.

この記事を書いた人
みい

大学院博士課程修了 博士(農学)
専門は栽培学、植物生理学です。

キュウリを中心に投稿していく予定です。
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