キュウリのべと病

キュウリ

今回は、キュウリのべと病についてです。

キュウリのべと病は他の植物のべと病、例えばホウレンソウのべと病なんかとは違う感じの病斑になります。

ですが、キュウリの場合は、初発状況以外なら比較的わかりやすい形の病斑が発生します。

葉の裏と表は上の写真のような感じになります。角ばった病斑になるのがべと病です。

そして最終的には葉がパリッぱりになります。

みい
みい

末期はこんな感じになって葉がなくなります。

本記事では、キュウリのべと病発生のタイミングべと病菌農薬について書いています。発生前後の農薬散布が大切になりますので、しっかり予防していきましょう!

 

キュウリべと病の発生するタイミング

べと病は葉に発生するカビです。すなわち湿度90%以上の多湿な環境は要注意です。

そうなると、注意しなくてはいけないのが、雨降り後ということになります。

 

上の写真のように、葉を裏返してみてこのようになっていたら特に注意が必要です。特にべと病は下のほうの葉から発生してきます。農薬については後述していますが、べと病の場合は特に、雨前雨後の消毒(農薬散布)がポイントです。

 

べと病菌の分類

べと病菌は糸状菌で、PseudoperonosporaPs.)属がキュウリのべと病を引き起こすのですが、種が色々あったりします(Ps. cubensis≒ Ps. humuli, Ps. cannabina, Ps. Celtidis, Ps. Urticae, Ps. Cassia (Choi et al., 2005))。

この中でキュウリのべと病を引き起こすのは、Pseudoperonospora cubensisで、ウリ科の20属49種、キュウリ属の19種を感染させます。

さらに言うとこのPs. cubensisの病原性は、異なるウリ科宿主との特異性に基づいて病原型が分類されています(Thomas et al. 2017)。

何のことかというと、同じPs. Cubensisでもキュウリとメロンにしかべと病を引き起こさないタイプのものや、キュウリ、メロン、カボチャ、ホップなどでもかかるタイプなど、今のところ10タイプほど確認されています。

ご興味がある方はThomas et al. (2017)にわかりやすい表があるので参照してください。

さらにややこしいので割愛しますが、新しい遺伝子型、レース、および交配型がいろいろと報告されています。

 

べと病菌の特徴

  • 胞子嚢の生産に最適な温度は15〜20℃ですが、5〜30℃の範囲でキュウリに胞子嚢(分生子)が形成されることがあります。また、長日条件で発生が助長されます(Thomas, 1996)。
  • 胞子嚢は胞子嚢が運ばれているときの状態(温度や相対湿度、太陽放射)によって1~16日生存します。その間に水分などの条件がそろうと発芽します(Cohen and Rotem 1971)。
  • 感染に最適な温度である15℃では、少なくとも2時間の葉の濡れで、胞子嚢から気孔に向かって動く遊走子が発生してしまいます(Cohen et al. 2015)。
みい
みい

数時間葉が濡れているだけで、べと病にかかる可能性があるということです。

2次感染は主に風によって運ばれて起こりますが、雨や園芸資材を介すこともあります。

  • べと病菌は、卵胞子と胞子嚢(分生子)をつくります。しかしながら卵胞子の形成は日本をはじめ海外でも報告されていますが、稀のようです。一方、胞子嚢(分生子)は風によって長距離に分散する可能性が指摘されています(Thomas, 1996)。
  • 基本的には越冬できません。しかし、暖地やハウス内などでキュウリと共に越冬します。

 

べと病の農薬

べと病の発生しそうなとき、または発生してしまったら、農薬を散布しましょう。

べと病に使える農薬は、キュウリ(野菜類も含む)で登録があるものだけで100個近くあるので、どれを使っていただいてもOKです。ですが、一口に農薬と言っても、予防目的で使う剤(雨降り前に使う)と、治療目的で使う剤があるので、使い分けます。

 

べと病の予防剤

代表的な予防剤は、銅剤です。

例えば、こちらクプロシールドフロアブルです。

使用回数制限がないので、何度でも使えます。1本手元に置いておいて、雨が降りそうなときは散布しておくことをおススメします。

ただ、注意点として苗や株が若いうちに散布すると薬害の恐れがあります。安全のため草丈が1mを超えるくらいになってから使い始めてくださいね。また、他の農薬との混用には注意が必要です。

 

家庭菜園の方は、こちらもおススメです。

ダコニール1000です。

こちらのダコニール1000の守備範囲は本当に広いので、こちらを使っておけばキュウリ栽培で発生するほとんどの糸状菌の病気を予防できます。

使用回数制限も8回と多く、抵抗性が発生しにくい剤です。

プロの方にももちろんおススメです。値段もお財布に優しいです。

 

べと病の治療剤

予防+治療の効果のある農薬は、例えばその名もベトファイタ―顆粒水和剤。

 

その他たくさんの剤が出ています。色々試してみてください。

ちなみに治療剤を使用しても、べと病に一度なってしまった部分(茶色の部分)は、元には戻りません。上の方の葉への病気の広がりが抑えられていれば薬が効いていると考えてください。

みい
みい

葉の裏にも丁寧に散布してくださいね

最後に

べと病は少し気温が低くなった時(最適温度は15℃から20℃)に出てきます。ハウスで栽培していて、その温度帯の時にどうにも湿度をコントロールできない場合などは、べと病に比較的強い品種を栽培してみるのも有効です。

 

参考文献:

Cohen, Y., and J. Rotem. 1971. “Dispersal and Viability of Sporangia of Pseudoperonospora Cubensis.” Transactions of the British Mycological Society 57(1): 67–74. http://dx.doi.org/10.1016/S0007-1536(71)80081-5.

Cohen, Yigal et al. 2015. “Resurgence of Pseudoperonospora Cubensis : The Causal Agent of Cucurbit Downy Mildew.” The American Phytopathological Socie 105(7): 998–1012.

Savory, Elizabeth A et al. 2011. “Pathogen Profile The Cucurbit Downy Mildew Pathogen Pseudoperonospora Cubensis.” MOLECULAR PLANT PATHOLOGY 12(3): 217–26.

Thomas, Anna, Ignazio Carbone, Kisurb Choe, and Peter S Ojiambo. 2017. “Resurgence of Cucurbit Downy Mildew in the United States : Insights from Comparative Genomic Analysis of Pseudoperonospora Cubensis.” (April): 6231–46.

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