ニジュウヤホシテントウの生態と対処法(農薬)

ニジュヤホシテントウナス

まだ梅雨があけませんね。

さて、今回はニジュウヤホシテントウについてです。

見た目はテントウムシに似ていますが、こちらは害虫です。ニジュウヤホシテントウは、28個の点(星?)があるのが名前の由来ですが、それ以外にはテントウムシダマシと呼ばれることもあります。

本記事では、ニジュウヤホシテントウによる被害の様子、その生態オオニジュウヤホシテントウとの違い発生サイクル、そして対応農薬について解説します。

7月は特にナスに発生し、被害が出る時期ですので、葉をよく見てみてくださいね。

 

ニジュウヤホシテントウとその食害痕

これがニジュウヤホシテントウです。

ニジュヤホシテントウ

テントウムシよりも色がくすんでいて、点がたくさんあるのが特徴です。

 

ニジュヤホシテントウ 食害痕ニジュヤホシテントウ 食害痕

指紋のように跡が残っている部分がニジュウヤホシテントウの食害痕です。葉も果実の表面も食害します。非常に特徴的な模様なのですぐにわかると思います。

これは以前、ウリハムシの記事でご紹介したトレンチ行動と呼ばれる食べ方です。ウリハムシは丸く葉を切り抜いて食べますが、ニジュウヤホシテントウの場合は、長方形を並べたような切り抜き方をします。

トレンチ行動について詳しくは、ウリハムシの記事を参照してみてください。

 

ニジュウヤホシテントウの生態

ニジュヤホシテントウ 卵

▲ニジュウヤホシテントウの卵▲

ニジュウヤホシテントウのライフサイクルは、卵→幼虫→蛹→成虫と完全変態します。

メスは10日間ほどの産卵期間中、最小6個から最大65個程度の卵を4つから6つの集団に分けて、産み付けます(VenkateshaM.G. 2006)。卵は細長い形をしていて、長さはおよそ1.2mmで横幅0.4mmほどです(Kalaiyarasi and Livingstone 2018)。産み付けられたばかりの卵は明るい黄色で、その後、濃い黄色に変化していきます。

ふ化すると、幼虫は3回脱皮をし4齢幼虫から蛹を経て、成虫となります(Kalaiyarasi and Livingstone 2018)。幼虫はテントウムシの幼虫と異なり、色が黄色っぽく、とげとげしていて、どちらかというと形はカイガラムシの幼虫に似ています。

 

オオニジュウヤホシテントウとは?

ニジュウヤホシテントウとオオニジュウヤホシテントウは、共にマダラテントウムシ属に属し、極めて近縁なよく似た虫です(森本 1965)。

オオ(大)とついているだけあって、オオニジュウヤホシテントウの方がサイズが少し大きくなります。分布は異なり、日本の西南部(暖かいところ)に分布するのがニジュウヤホシテントウで、東北部と西南部の高地(寒いところ)に分布しているのがオオニジュウヤホシテントウです(安江 1963)。

森本 (1965)によると、卵の形態は似ていますが、ニジュウヤホシテントウが卵をいくつかまとめて集団で産み付けるのに対して、オオニジュウヤホシテントウの方は、少し離してバラバラに卵を産み付けます。また、1齢幼虫もニジュウヤホシテントウの方は集団でいるのに対し、オオニジュウヤホシテントウの方は1匹だけで摂食している個体が多くなります。

 

ニジュウヤホシテントウの発生サイクル

ニジュウヤホシテントウは、まず5月にジャガイモに現れます。そして、ジャガイモの収穫に伴い株がなくなると、7月中旬ごろにナスやキュウリに移動してきて、9月になると成虫の状態で越冬します。

世代は、越冬世代→第1世代→第2世代→越冬となります。1世代あたりの寿命は1か月ほどですが、第1世代も越冬する個体がいます。以下では京都市で行われた調査(中村 1976)をご紹介します。

 

越冬世代

越冬成虫が5月初旬にジャガイモに飛来5月中旬ごろ交尾6月中下旬に産卵7月上旬まで生存

というサイクルです。メスはオスよりも早く飛来し、越冬成虫の飛来総数は2:1でメスの方が多いようです。越冬世代の雌が産む卵の数は平均588個とかなり多くの卵を産みます。

 

第1世代

続いて7月上旬に現れるのが第1世代です。7月に大量の卵が孵化し、ジャガイモという大好物を食べて幼虫時代を過ごし、晩年はナスに大集合します。

7月上旬に新成虫がジャガイモの株上で大量に羽化ジャガイモの収穫に伴い、ナス、キュウリなどに移動7月中下旬に産卵
みい
みい

この時期は競合する他の虫もいますので、放っておくとナスの葉はなくなってしまいます。

 

第2世代

続いて現れるのが第2世代です。ナスに大集合してしまったゆえに生存競争が激化し、第1世代の産卵数は減少します。さらに、そのうち20から30%の卵は共食いによりさらに減少し、ふ化率は50%程度になります。そんな環境で誕生するのが第2世代です。

8月上旬羽化
8月になると、7月の繁栄は影を落とし、成虫数は急激に減少し衰退していきます。

越冬

9月中旬には、少数の第1世代、第2世代が完全に越冬に入ります。

 

対策(農薬)

ニジュウヤホシテントウの卵は見つけ次第、除去していただくとして、成虫は農薬での対策になります。テントウムシダマシに効く、ナス・キュウリどちらにも使える農薬は以下の通りです。

2020年7月14日現在

農薬名一般名IRAC No.使用時期使用回数
スミチオン乳剤MEP乳剤1B:有機リン収穫前日まで5回以内
サイアノックス乳剤CYAP乳剤1B:有機リン収穫前日まで2回以内
ダイアジノン乳剤40ダイアジノン乳剤1B:有機リン収穫開始3日前まで3回以内
アディオン乳剤ペルメトリン乳剤3A:ピレスロイド収穫前日まで3回以内
トレボン粉剤DLエトフェンプロックス粉剤3A:ピレスロイド収穫前日まで3回以内
ダントツ水溶剤クロチアニジン水溶剤4A:ネオニコチノイド収穫前日まで3回以内
アクタラ顆粒水溶剤チアメトキサム水溶剤4A:ネオニコチノイド収穫前日まで3回以内
モスピラン水溶剤アセタミプリド水溶剤4A:ネオニコチノイド収穫前日まで3回以内
モスピラン顆粒水溶剤アセタミプリド水溶剤4A:ネオニコチノイド収穫前日まで3回以内
コテツフロアブルクロルフェナピル水和剤13:ピロール収穫前日まで4回以内

 

おなじみの農薬が多いと思いますので、ローテーション防除の中で適当なものを使ってみてください。

 

家庭菜園のかたは、お手軽なベニカXネクストスプレーなどで防除が可能です。

 

おわりに

7月はナス(その他、トマト・キュウリなどにも)に大発生する可能性がありますので、注意してみてください。食害痕が特徴的なので、キュウリに発生してもすぐにわかると思います。

 

参考文献:

Kalaiyarasi, L, and Ananthi Rachel Livingstone. 2018. “Relevance of Temperature and Host Plants on the Life Cycle of Henosepilachna Vigintioctopunctata ( Fab .).” International Journal of Zoology Studies International 3(2): 213–17.

VenkateshaM.G. 2006. “Seasonal Occurrence of Henosepilachna Vigintioctopunctata (F.) (Coleoptera: Coccinellidae) and Its Parasitoid on Ashwagandha in India.” Journal of Asia-Pacific Entomology 9(3): 265–68. http://dx.doi.org/10.1016/S1226-8615(08)60301-5.

中村浩二. 1976. “ニジュウヤホシテントウの生態学的研究 Ⅰ.野外個体群の生命表 と死亡過程の分析.” 日生態会誌 26: 49‐59.

安江安宜. 1963. “ニジユウヤホシテントウ Epilachna Sparsa Orientalis DIEKE とオオニジユウヤホシテントウ Epilachna Vigintioctomaculata MOTSCHULSKY の 地理的分布に関する調査研究.” 農学研究 50(1): 1-36.

森本尚武. 1965. “ニジュウヤホシテントウとオオニジュウ ヤホシテントウの卵塊性集団の生態的性質について.” 日本応用動物昆虫学会誌 9(2): 73–78.

この記事を書いた人
みい

大学院博士課程修了 博士(農学)
専門は栽培学、植物生理学です。

キュウリを中心に投稿していく予定です。
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